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お花屋さんのロゴをデザインさせていただいた話

その前に。
以前、NEWSに投稿していたコンペの結果ですが、残念ながら採用とはなりませんでした。ご協力くださった方、ありがとうございました。コンペだからしょうがないんですが、やっぱり悔しい。このことで少し凹んでいたのですが、それを見た子供が
「お母さんの作ったデザイン好きだったから悲しい…」
と言って突然ポロポロと泣き出したのでビックリ。何て優しい…誰に似たのだ…?と思いながら、大丈夫よ、ありがとうと慰めたのですが、次に続いた言葉が
「大人になったら良く無いデザインでもお母さんのを使ってあげるからね!」
でして、何というか、アカン具合が突き抜けていて二度ビックリさせられたのでありました。でも、ありがとう。

さて今回もデザインのお話です。
大阪は枚方にあるお花屋さん「fureru.(ふれる)」さんのロゴデザインを担当させていただきました。fureru.さんはジャズ喫茶跡をアトリエとして構え、生花販売はもちろん、いけばな等のレッスンや、ワークショップなど様々な取り組みを精力的に行なっておられ、花を通じて心も知識も満たされる、そんな素敵なお店であります。
ロゴ制作をするにあたり、まず最初に行うのは刑事ばりの聞き込み。オーナーさんに根掘り葉掘り探りを入れていきます。鋭い眼光は不要。

[聞き込み]
・お店を始めたきっかけ(原体験)
・お店のコンセプト
・どんなテイストが好みか、または仕上げたいか
・ターゲット層
・商品(お店)を通じて伝えたいこと
・雑談(仕事のこと・人となりを教えてもらう)

オーナーさんとお話しする中で、印象的な言葉が「花に触れ、自分を見つめる時間を作ってほしい。知識に触れる、琴線に触れる、もまた同じ“ふれる”である」というものでした。これはfureru.さんならでは。花を通じて届けたい一番の思いはここにあるのでは。

ロゴを作る際に大事にしていること。それは方向性を分けて表現する、といこと。例えば今回のロゴを制作するにあたり、4つの方向性で提案することにしました。

[ロゴ案]
・七宝案
→お店を開くにあたり生花が大きな礎になっていると考え、七宝剣山という華道の要素をロゴに入れ込んだ案。
・花束案
→fureru.の文字を花束のようにアレンジし、手で持つことで、花に「触れる」を表現した案。
・花瓶案
→fureru.のuの文字を花瓶に見立てた案。
・琴線案
→物に触れるのではなく「知識に触れる」「琴線に触れる」などの意味から考えた、もう1つの「触れる」案。

核となるモチーフが手だったり七宝柄だったりするのですが、方向性さえ決まれば、提案後にヒアリングを重ねて改良をしていけば良いので(手の形を変える、七宝柄を増やすなど)東西南北ぐらい全部違う方向を出すのが肝心だと思います。バリエーションで数を増やすのは御法度でして、ここは気をつけなくてはなりません。東西南北、青龍白虎朱雀玄武を意識。

そして、この4方向の中でオーナーさんが選んでくださったのは琴線案でした。ここから色や線の数、太さ、フォントタイプを検証していき、このロゴが完成したのでした。

[完成したロゴのコンセプト]
fureru.はフィジカル的に花に触れることはもちろん、その行為を通じて知識や心の琴線に触れて欲しいという思いから、線を基調にしたデザインを採用。線は放射状にレイアウトし、綿毛のようなフォルムを形成してfureru.のドット部分を種に見立てました。花に「fureru.」ことでお客様の心が満たされ、その思いが綿毛のように舞っていき、幸せの連鎖が生まれますように、という願いを込めました。

ちなみに花束案はこんな感じでした。個人的にはこれもお気に入りです。手に持った花をそのまま贈る。それはとても純粋で優しい行為。花(植物)に「触れる」ことを大事にして欲しいという思いを込めて作りました。

ロゴ制作は分析力と造形力の掛け合わせだと思います。修行みたいな時間になりますが、お客様の「それ!」が表現出来た時にチャクラが開く、みたいな感じでしょうか。

今回も長々とお付き合いいただきありがとうございました。最後に一つ言わせていただくと、わたくし、グラフィックのお仕事も募集しておりますので、何かお役に立てることがございましたら、ぜひぜひ一報くださいませ!
また、素敵なご縁をくださったPicnicWork様、ありがとうございました。

fureru.→https://www.instagram.com/hananifureru/
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