読書を晒す(2023 前編)
大きな本屋の入った商業施設で働いていたこともあり、それがきっかけで全然本を読まなかった自分が、本を読む人へと変化。しかし読んだ端から内容を忘れていく悲しさたるや…。なので今年は、読んだ本は出来るだけスマホにメモしておき、アーカイブとして残す方法をとってみました。今回はそのアーカイブから、その月に読んだおすすめの一冊を振り返りながらご紹介。ではどうぞ!
1月
「俺ではない炎上」浅倉秋成
逃走劇ベースのミステリー。寝る前に開いたのがまずかった…みるみる物語に引き込まれて、気がつけば丑三つ時。最後まで犯人が全然分からないわ、立ち位置見失いそうになるわ、伏線がミッションインポッシブルのセキュリティばりに張り巡らされてるわ…。ああ完敗。タイトルの秀逸さに惹かれて読んでみたのですが、めちゃくちゃ面白かったです。あなたもきっと騙される!
2月
「勝てるデザイン」前田高志
元任天堂のデザイナーによって書かれたデザイン指南書。
中堅で成長が止まっていると感じるデザイナーを再び振り立たせてくれる熱い一冊。デザイナーとしての原点にも立ち返らせてくれるし、さらに成長の手助けもしてくれるまさに痒いところに手が届く感じ。実践とノウハウがデザイン哲学をベースに記されていて、頭がもげそうな程頷きながら読むこと必至。デザインを言語化してくれて、曝け出す。流行りに流されない、デザインの本質を説きつつ、とても分かりやすい。私はロゴ制作をご依頼いただいた時、この本のメソッドを使って進めました。まだまだ学ぶことはあるし、まだまだ私達は成長出来る!
3月
「東京百景」又吉直樹
言わずもがな、ピース又吉氏のエッセイ。大好きな一冊なので書くことを躊躇われるのですが、おすすめなのでしょうがない。間接的に笑わせてくる感じだけど、声を出して笑っていました。東京に挑む感じ、東京になりたくてもなれない感じ、あまりにも多くの文脈を持ちすぎた東京と折り合いをつける若く売れない日々。東京〜〜〜!時に絶望を抱えながらも書くことで自分を支え続けた私的すぎるエッセイ。でも凄く面白かった。いっそ1000景ぐらい読みたい。
4月
「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成
浅倉先生再び。「俺ではない炎上」で思いっきり騙された身としては今度こそは犯人を見極めてやると目を細めながら読書スタート。就活生である六人の登場人物達を中心に話は進むのですが最終選考中にある「事件」が起ってしまい…
今回もやはり完敗…!全然見破れませんでした。ユー、お前だったのか〜!
ミステリーの醍醐味は犯人が分かる瞬間。でもそこで話は終わらない。怒涛の伏線回収に加え登場人物達の人格、表と裏がパタパタと入れ替わる描写にとにかく翻弄されました。騙されてる…?いや、私はこの人達についてそもそも何も知らないのではないかと。一つの側面を見たくらいで人となりなんて分からない。就活とミステリを掛け合わせることでその事実を顕著に浮かび上がらせたこの作品。圧巻でした。面白かった!
5月
「たおやかに輪をえがいて」窪美澄
なかなか長い小説。帯に惹かれて読むことに。私は主人公の主婦、絵里子に感情移入しましたが、読む人によってそれは変わるのでしょう。ザ・普通の主婦、絵里子が、夫の風俗通いと娘のパパ活(?)の発覚と、自分の人生を謳歌する友人の存在によって、人生が今までに無い方向へと動き出していく…。自分を変えていくとはこうもワクワクするものなのか。家族に奉仕していく長い時間の中で、自分が溶けて消えてしまったと言った絵里子の言葉が強烈に胸に残りました。
消えてしまった自分を取り戻せた絵里子は運が良かったのだろうか。いや、自分で人生を切り拓いたから取り戻せたのだろう。窪先生の書く女性達が私はとても好きです。
6月…アーカイブが残っていませんでした。書くことを忘れた模様。上記読み返してみると、一体どんな本なんだよ…と要領をえない内容も多々あるかと思います。お恥ずかしい。それでもちょっと気になるな、などと頭の片隅に留めておいてくださる方がいるのであれば、とても嬉しいです。