
その「齧るなよ…」を「どうぞどうぞ」に変えたくて 〜齧られたい本が出来るまで〜(出会編)
「こら!それ齧ったらアカン!」
「嗚呼、やられた…」
鳥飼いの皆さんなら、一度は口にしたことがあるであろう、このセリフ。 かくいう私も、そのひとり。
遡ること2023年。放鳥中に子供へ絵本を読み聞かせていた時のこと。 我が家のオカメインコ、スマイルがパタパタと飛んできて肩に止まり、子供と一緒に絵本の物語に耳を傾け……るはずもなく、絵本の端にとまり、そのままガジガジ齧り出したのです。お気に入りの絵本を齧られるのは、いくら異常に可愛いオカメインコとはいえ、ちょっといただけない。流石に私も言いましたね。「コラ、齧ったらアカンで!」と。でも、その瞬間ふと思ったんです。 「こんなに齧るのが好きなら、いっそ鳥が齧っても怒られない、鳥が楽しめる絵本があれば面白いのでは?」
こうして、「齧られたい本」を作るアイデアが生まれました。
とはいえ、脳内で「あったらええな〜♪」と妄想しているだけでは実現しないのが辛いところ。 話の内容どうする? イラスト描けるん? 仕様は? 印刷どこで頼むの? 費用どれくらいかかるんやろ…と、次々に課題が浮かんでは消え、「作りたいけどできる気がしねえ!」状態に陥っておりました。
そんな中、時は流れて2024年7月。
ペーパーサミット という、大阪印刷工業組合とクリエイターがコラボし、紙製品を開発&発表するイベントがあることを知りまして、 面白そうやなと思い、ボランティア運営委員として潜り込むことに成功。裏方として動くうちに、ふと気づく。 「あれ?齧られたい本って、ペーパーサミットにピッタリのプロダクトじゃないかしら…?」タイミング良く次週に控えたコラボマッチングの懇親会に資料だけでも持っていこうと思い立ち、そこで作ったのが、齧られたい本の“叩き台”となるA4資料でした。(添付画像参照)
迎えた当日。 お酒片手に「こんなん作りたいんです〜」と出来立てホヤホヤの資料を配りまくっていたら、とある製紙会社の支社長さんにお渡しした瞬間、「面白い、やりましょう!」とのリアクションが。…そうですよね〜ってんん?やりましょう!って今言った?まじ?酔っ払ってるのかな…?一瞬、疑ってしまいましたが(ごめんなさい!)、面白がってくださった事がとても嬉しくて、即答で「是非ともよろしくお願いします!」とお返事させていただいたのでした。こうしてありがたい事にコラボパートナーが無事決定。その時、笑顔で即答くださったのが、紙の専門商社、株式会社シオザワの塩澤さんでした。鳥のための本なので、鳥が齧ってもできるだけ安全な紙を使いたい。 紙に詳しい会社さんとタッグを組みたかった私にとって、この出会いは最高でした。
こうして、妄想だった「齧られたい本」が、ついに実現に向けて動き出すことに。さて、ここからどうしよう。
長くなりそうなので、続きは後編へ。「齧られたい本」をどのように形にしていったのか、制作過程について記していこうと思います。
📌 ペーパーサミット2025 → https://paper-summit.com/
📌 株式会社シオザワ → https://shiozawa.co.jp/